日本が敗戦した昭和20年の翌年、昭和21年に公布された戦後日本の「日本国憲法」を記念して新憲法下の日本政府が、日本国憲法公布祝賀会で来賓に贈呈した菊御紋銀杯です。この銀杯は、下記の憲法制作に関わったベテア・シロタさんの自伝にあるように25人にしか渡されていない希少な代物です。自伝の第五章「日本国憲法に『男女平等』を書く」の末尾はこう締めくくられている。「翌年の五月三日、憲法は施行された。その日は憲法記念日という祭日になった。それからしばらく経って、吉田茂首相から銀杯と、女性には特別に白の羽二重が一反贈られてきた。上等なシルクで、私は早速ブラウスに仕立てた。二五人全員に贈られた銀杯は、菊の紋が入っていた。なぜ日の丸ではなく、天皇家の紋なのかわからなかった。異物を呑み込んだような気持ちだった。銀杯は、今ニューヨークの我が家にある。夫のジョセフ・ゴードンのと私のとで二つ」『日本国憲法公布祝賀会における記念品「菊御紋章付銀杯」贈呈の件』という昭和21年の政府公文書に掲載されたその銀杯です。戦後の天皇制となって、最初の御下賜銀杯といえそうです。「御下賜銀杯自体の価値」に加えて「公文書による裏付けという真正性」そして「日本の歴史に連なる価値」までもが上乗せされた幾重もの価値をもつ、歴史の証人でもある菊ご紋章つき銀杯です。造幣局の刻印入りです。公的に日本国政府が製作し、政府の新憲法公布祝賀会で功労者(GHQの民政局)に贈呈した歴史的な菊ご紋章銀杯であることが公文書で裏付けられている確かな品です。銀杯の裏は光沢仕上げで、盃のフチに沿って反時計回りに（戦前の日本語表記方向に)古典的な字体で昭和二十一年十一月三日　日本國憲法公布記念と刻印されています。直径105mmです。箱付き。終戦直後の混乱まだ収まらぬGHQ統制下の昭和21年に作られたとは思えないほど、素晴らしく出来の良い銀杯です。さすがは御下賜の銀杯です。表は梨地仕上で菊紋は金象嵌または部分金着せ。裏の刻印字体も時代感があり、日本国憲法の発布を記念する歴史的に貴重な逸品です。

商品の情報

カテゴリー	その他 > アンティーク/コレクション > 工芸品
商品の状態	やや傷や汚れあり